第1回 遺言の種類

酒井 勝則

2018-04-18

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相続に関して、弁護士に対して頻繁にあるご相談の1つが、遺言にまつわるものです。
おそらく、本稿の読者のうちの多くの方が、亡くなった人の遺言があれば相続人間の争いが起こりにくいから、遺言書を書いておいた方が良い、ということは理解していらっしゃるのではないかと思います。

他方で、実際にご自身の遺産や遺言の作成方法などを、きちんと法的に整理をした上で、遺言の準備が完了している方は、あまり多くないのではないかと思います。

しかし、紛争化してしまった相続案件を多数経験してきた弁護士の目から見ると、遺言は絶対に書いておいた方が良いと思います。

本連載では、遺言について定める民法の基本的なルールを整理して、なぜ遺言を書いておいた方がよいのか、書くとすればどのような点に注意をして書くべきなのか等、遺言に関する民法上の基本的なルールについて、順を追って分かりやすく紹介していきます。

第1回となる今回は、遺言作成をする上で、まず、法律上、どのような形式の遺言が認められているのか、遺言を作成する上での大前提となる、民法上定められている遺言の種類を確認します。

遺言作成のためのルールは、どこに定められているの?

相続・遺言など民事上の法的なルールを定める民法は、遺言についての1つの章(第七章 遺言)を設けています。第七章は、以下の構成になっています。

第一節 総則(第九百六十条―第九百六十六条)
第二節 遺言の方式(第九百六十七条―第九百八十四条)
第三節 遺言の効力(第九百八十五条―第千三条)
第四節 遺言の執行(第千四条―第千二十一条)
第五節 遺言の撤回及び取消し(第千二十二条―第千二十七条)


これによると、遺言に関する条文は、960条から1027条まで、全部で68条も存在していることが分かります。この民法の遺言に関する章は、遺言の方式についての以下の条文から始まります。

(遺言の方式)
第九百六十条 遺言は、この法律に定める方式に従わなければ、することができない。

 わかりやすくいうと、、、

 遺言を作成するためには、民法に定められた遺言作成のルールに従わなければならず、逆にいえば、このルールに違反して作成された遺言書は、タイトルに「遺言書」と明記されていたとしても、民法上は無効な書類となるおそれがあります。

一般的には、遺言を作成した遺言者の真意を生かす方向で遺言書の記載は解釈される傾向にありますので、民法のルールに違反していたとしても直ちに遺言書の全てが無効になるものではありません。しかし、残された相続人に対する円満な遺産の分配のために遺言書を作成したにもかかわらず、遺言書の中の民法のルールに反する部分が、相続人間の新たな紛争の火種となってしまっては、元も子もありません。

したがって、遺言を作成するに当たっては、民法に定められた遺言の方式に関するルールの内容を確認し、これに従って作成する必要があるのです。

遺言の種類には、どのようなものがあるの?

 では、遺言を作成しようと思った場合、どのような方式で作成すればよいのでしょうか。

 民法は、次のとおり、遺言作成の方式を2つに区別しています。

第一款 普通の方式(第九百六十七条―第九百七十五条)
第二款 特別の方式(第九百七十六条―第九百八十四条)


 いわゆる一般的な遺言の作成方法である普通の方式に加えて、普通の方式では遺言をすることができない緊急の場合になされる遺言の方式として、特別の方式が定められています。

 普通の方式による遺言としては、以下の3種類があると規定されています。

(普通の方式による遺言の種類)
第九百六十七条 遺言は、自筆証書、公正証書又は秘密証書によってしなければならない。


 つまり、普通の方式による遺言には、①自筆証書遺言、②公正証書遺言、③秘密証書遺言があることが分かります。

 これに対し、特別の方式の遺言としては、以下の4つの方式が定められています。

第九百七十六条 (死亡の危急に迫った者の遺言)
第九百七十七条 (伝染病隔離者の遺言)
第九百七十八条 (在船者の遺言)
第九百七十九条 (船舶遭難者の遺言)


一般的には、特別の方式によって遺言が作成されることは例外的で、普通の方式で作成されることが多いということができると思います。本連載をお読みの方も、まずは、普通の方式の3つの種類の違いとメリット・デメリットを把握することが重要ではないかと思います。

 本連載では、民法の基本的な定めに立ち返りながら、遺言に関する民法上のルールについて、順を追って確認を進めていきたいと思います。

酒井 勝則

弁護士法人マーキュリージェネラル 所属 

相続終活専門士

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