第1回 近年、遺言書を作成せずに亡くなり、残された家族同士で相続分を巡って争う、いわゆる『争族』が増えています

油良 俊寛

2018-03-26

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遺産相続をするときには、トラブルが起こりがちなので、事前に準備をしておく必要があります。トラブルの回避には遺言書を作成することが一番良い方法です。
遺言書とは故人が自分の死後に自分の財産を誰に対し、どのように分配するかなどを記載したものです。
しかし近年、遺言書を作成せずに亡くなり、残された家族同士で相続分を巡って争う、いわゆる『争族』が増えています。
遺言書を残さずに亡くなった場合は、相続人同士で話し合って相続分を決めます。これを遺産分割協議と言い、これを基に遺産分割協議書を作成します。
協議分割の場合は必ず相続人全員の同意が必要です。しかし、ドラマなどでもあるように、遺産の分割を巡っては様々なトラブルが発生します。
なかでも、それまで便りのなかった兄弟が遺産欲しさに突然やってくる、というケースを見てみましょう。
それまで便りのなかった兄弟が遺産欲しさに突然やってくる

【ケース】相談人:Aさん71歳
被相続人(亡くなった人):夫71歳
相続人:Aさん、夫の二人の弟
財産;土地建物3000万円、預貯金1500万円
Aさん夫婦は仲睦まじく、飲食店を営んでいた。
日々仕事に追われる日々で、子供はいなかったが、気にかけてくれる馴染みのお客さんとの話を生きがいに、70歳を過ぎても仕事を続けていた。
資産は、夫名義ではあるが二人で頑張って貯めてきたお金と、店の土地と建物で、普段は貸家住まいである。
そんなある日、夫が配達中の不慮の事故で帰らぬ人になってしまった。
Aさんは葬式が終わった後、遺産整理をしていたが、遺言書は出てこなかった。お互いの『終活』のことで、一度夫婦で話し合う機会があったが、職人気質の夫は面倒くさがり、遺言書をとうとう書かずじまいで亡くなってしまった。
葬式を終えて、Aさんは遺産整理などを行っている最中に、ふと相続税のことが気になった。いつも確定申告をお願いしている税理士さんではなく、知人の紹介で相続税専門の税理士さんを紹介してもらい、相続税がかかるのかどうかを聞いてみた。
税理士「相続税は、遺産の額に応じてかかってきます。まず基礎控除というものが3000万円あり、相続人一人当たり600万円の控除がつきます。A様の場合ですと、3000万円+1800万円(600万円の三人分)で4800万円以下であれば相続税はかかりません。財産を見てみると土地建物が3000万円と預貯金が1500万円で、合わせて4500万円となりますので、4800万円以下ですね。
ご安心ください。相続税はかかりません。あとは、この財産をどう分けるかを親族の方でご相談ください」
Aさんは相続税がかからなくて、ひとまず安心したのだが、この遺産をあまり交流のない夫の弟とどう分けるかを考える必要がある、ということに気づかされた。
その次の日、突然、義弟の二人が揃ってAさんの家にやってきた。どうやら、相続をどうするか話し合いにきた様子だった。
Aさんは、これまで何十年と夫と一緒に貯めてきたお金とお店の権利も、義弟は何も言わず私に相続させてくれるだろうと考えていた。しかし・・・
義弟「この店、見かけはボロボロだけれど、ここは開発地域でいずれ多額の退去費用が国からもらえる。お義姉さんはそれが目当てなんだろうが、そうはいかない。俺達にも相続する権利が当然あるのだから、きっかり三等分してほしい。当然、お金もだ」
Aさんはそんな事を言われるとは露も思わず、どうして良いかわからなくなってしまいました・・・


上記のケースは実際にあった事例を基に書いています。Aさんの気持ちもわかりますが、民法上、義弟にも相続する権利が認められているためどうすることもできません。もしAさんの夫が遺言書を書いていればどうなっていたでしょうか。
遺言書の話をするときによく出てくる言葉で、『遺留分』という言葉があります。
遺言書に『愛人に全て相続させる』と書いている場合、残された家族はどうなるのでしょうか。ここで遺留分が登場します。遺留分とは、民法で定められている一定の相続人が最低限相続できる財産のことをいいます(民法1028条)。民法で最低限相続できる財産を保証しています。
また、この一定の相続人というのは、配偶者、子供、父母などで、兄弟姉妹以外の相続人と定義されています。
つまり、このケースでは、遺言書で『妻に全て相続させる』という意思表示をしていれば義理の兄弟に取られることもなかったかもしれません。



このように、遺言書は故人が遺す遺産に対して親族同士がもめないようにするには一番確実な方法です。
遺言書は故人の最後の意思表示です。最後の意思表示には親族間も従うことが多く、親族間のもめ事はほとんど回避することができるといえます。

しかし、遺言書の記載方法はどのような方法でも良いわけではなく、その書き方については、法律上、「遺言は、法律の定める方式に従わなければ、効力を発揮しない」(民法960条)とあります。
要約すると、遺言書にも効力を発揮するための決まりがあり、法律で決められた範囲内で書かれた遺言書でないと効力がないということです。
そのため遺言書でお悩みの方は専門家に相談された方が良いでしょう。

油良 俊寛

兵庫県出身
神戸大学経営学部卒業

相続終活専門士

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