第11回 相続の対象になる/ならない① 生命保険金

千葉 直愛

2019-03-01

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 前回までで、誰が相続人になるのかについて、基本的な説明を終えました。
 今回から数回は、何が相続の対象になるのか?という問題について説明していきます。

生命保険金は遺産?


CASE 
AにはBとCの2人の子どもがいるが、Cとは大げんかをして長年疎遠であった。Aはそんなこともあって、5000万円の生命保険の受取人を、Bひとりに指定していた。 Aが死亡し、その財産を確認したところ、Aには1000万円の預貯金があるばかりで、ほかに目ぼしい財産がなかった。 Bは、保険会社から5000万円の保険金を受け取った。


 上記のCASEでは、一見すると、Aの遺産は6000万円(生命保険金5000万円+預貯金1000万円)のように思えます。

 ところが、生命保険金は、相続財産ではないとされています。

 そのため、BCは、預貯金1000万円をふたりでわけるだけで、生命保険金5000万円はふたりで分ける必要がない、ということになります。

 ちょっとびっくりする?ような結論ですが、民法には次のような条文があります。

(相続の一般的効力)
第八百九十六条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。(以下略)

 これが、何が相続の対象になるかを定めた一般的なルールです。
 ちょっとわかりにくい条文ですが、ポイントは、「被相続人の財産に属した一切の権利義務」という言葉です。
 わかりやすく言い換えると、相続の対象になるのは、「被相続人が死亡した時点で、被相続人のものであった財産(と負債)」という意味になります。


 ところで、生命保険金を受け取る権利は、Aが、生前に、生命保険に加入したときに、指定することになります。そうすると、受取人として指定されたBは、「Aの生前から」、生命保険を受け取ることができる権利(生命保険金請求権)を取得していたことになります。
 そのため、生命保険金を受け取ることができる権利は、Aの死亡時点でAのものであった財産ではありませんので、遺産ではない、だから、ABで話し合い(遺産分割協議)をして分ける必要はない、ということになります。

傷害保険金は遺産?


CASE 
Aは海外旅行が好きで、定年退職後は頻繁に海外旅行をしている。旅行のたびに、万が一の場合に備えて傷害保険に加入している。
不幸なことに、Aは渡航先で、交通事故に巻き込まれて死亡してしまった。
AにはBとCの2人の子どもがいる。
傷害保険金として5000万円が支払われることになった。
Aには預貯金1000万円のほかに目ぼしい遺産はない。


Aが保険金の受取人を指定していた場合は、前記の生命保険の場合と同様、受取人が保険金の全額を受け取ることになり、当該保険金は遺産にはなりません。その理由は、前記の生命保険の場合と同じです。

Aが保険金の受取人を指定していなかった場合には、BCが法定相続分に従って保険金を取得するとされています。BCの法定相続分は1:1ですので、BCはそれぞれ2500万円を取得することになります。遺産として取得した場合と結論は殆ど同じですが、あくまでも契約に基づく取得であって、相続による取得ではない(遺産ではない)、と理解されています。

以上

千葉 直愛

弁護士法人マーキュリージェネラル 所属 

アーレスリアルエステート

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