第2回 2018年度の税制改正 小規模宅地の特例の悪用に対する防止策

田中 誠

2018-05-31

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小規模宅地の特例とは、
 小規模宅地の特例とは、相続時に「宅地の評価額が80%も減額される」制度です。これは、相続税には亡くなった人(被相続人)の住まいを、同居していた配偶者や親族(相続人)が手放さずに済むよう評価額を低くする特例です。もちろん無条件ではなく、「相続税申告を行うこと」と「被相続人が住んでいた住居を相続人も使い続けること」が大前提となっています。

 この特例が適用される人は、
  • ①被相続人の配偶者、
  • ②被相続人と同居していた親族、
  • ③被相続人と同居はしていないが、自分自身も自分の持ち家に居住していない者(家なき子)、です。

 この「家なき子」は、相続開始前 3 年以内に、日本国内に「その人」もしくは「配偶者が所有する家屋に居住していなかった」という要件を満たさなければなりません(3年内家なき子と呼ぶこともあります)。しかしこの要件を満たすために制度を悪用するケースが横行しているのです。
例えば、
 父親A:80歳、一人暮らし、自己所有の自宅に居住
 長男B:50歳、自分が所有する自宅に居住
 孫C(長男の娘):28歳
 上記のような家族で、Bは所有する持家を Cに贈与します。
 そしてB自身は持ち家を持たない人、いわゆる「家なき子」として3年以上過ごします。
 その段階で 80 代の父親Aが亡くなると、このBは父親の宅地を、特定居住用宅地として 80%評価減で相続し、税負担が軽く済むというものです。

「家なき子」範囲の制限

今回の税制改正では、このような小規模宅地の特例を悪用するケースを、以下の通り適用除外とすることとなったのです。

  • ①相続開始前 3 年以内に、その 3 親等以内の親族またはその関連法人が所有する国内にある家屋に居住したことがある者、
  • ②相続開始時において居住の用に供していた家屋を過去に所有していたことがある者、です。

 すなわち、相続開始前において居住の用に供していた家屋を過去に所有していた者は、全て特定居住用宅地等特例の対象外とされます。この改正は、今年 4月1日以後に相続により取得する財産にかかる相続税について適用されます。

 小規模宅地の特例は、土地の評価が減額される金額も大きく、相続税額を大きく左右するものであるため、適用可否については慎重な判断が必要となります。検討されている方は、一度、資産税専門の税理士に相談されることをお勧めします。

田中 誠

長野県生まれ
横浜国立大学経営学部卒業

相続終活専門士

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