相続の民法見直し

田中 誠

2018-03-06

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 配偶者居住権を創設
法制審議会(法相の諮問機関)は2月16日、民法の相続分野を見直す改正要綱を上川陽子法相に答申した。残された配偶者の保護を手厚くするのが柱だ。配偶者が自身が亡くなるまで今の住居に住める配偶者居住権を新設し、婚姻期間20年以上の夫婦の場合は遺産分割で配偶者を優遇する規定をつくる。政府は今国会に民法改正案など関連法案を提出する方針だ。

慣れ親しんだ住居に住み続けられるように一人息子と遺産を分けるには

住居を所有する夫が亡くなり、同居する妻が残された。遺産は評価額2千万円の住居と預金などの財産3千万円の計5千万円。慣れ親しんだ住居に住み続けられるように一人息子と遺産を分けるには――。
 夫の遺言がなければ、妻の取り分は2分の1の2500万円で、残りを息子が相続する。妻が今の住居に住み続けるために住居の所有権を取得すれば、得られる預金などは500万円で、老後の生活資金に不安がある。
 こんなケースで、配偶者の老後の生活の安定につなげるために盛りこんだのが配偶者居住権だ。所有権と比べて売却する権利などがないため、評価額が低くなる。居住権の評価額が1千万円なら、預金などの取り分は1500万円に増える。
 もっとも、配偶者が若ければ住居以外の遺産の取り分はあまり増えない可能性がある。配偶者居住権は平均余命などをもとに評価額を算出するため、若ければ居住権と所有権の評価額の差が小さくなるからだ。居住権には売却などの権利がなく、将来的に住居を売却して介護施設への入所を考えている場合などは、慎重な検討が必要になりそうだ。

夫が住居を妻に生前贈与していた場合はどうか――。

 婚姻期間が20年以上の夫婦であれば、残された配偶者が遺産分割で優遇される新しい規定が適用になる。住居を生前贈与するか、遺言で贈与の意思を示せば、その住居は遺産分割の対象から外れる。これまでは住居以外の遺産が少なければ、相続人で分け合うために住居の売却を迫られる恐れがあった。配偶者は住み続けられ、住居以外の遺産の取り分も増える。
 婚姻期間が20年未満の夫婦や、贈与の意思表示がなく亡くなった場合は対象外だ。

亡くなった夫に対して、息子の妻が献身的に介護をしていた。息子の妻は遺産を得られるのだろうか――。

 現行法では、息子の妻に遺産を受け取る権利はない。今回の改正では、被相続人への長年の介護や看病といった貢献に報い、被相続人の親族で相続の対象にならない人でも、一定の要件を満たせば相続人に金銭を請求できるようにする。
 相続に関する民法改正は1980年以来、約40年ぶりだ。高齢化が進む時代の変化にあわせ、働くのが難しい高齢配偶者の住まいや生活資金の確保に力を入れた。一方、今回の改正は法律婚が対象で、事実婚は対象外だ。家族のあり方の多様化に伴う見直しについて、今後も検討を進めていく必要がありそうだ。

田中 誠

長野県生まれ
横浜国立大学経営学部卒業

相続終活専門士

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